福島にある日本百名山・磐梯山(ばんだいさん、標高1816m)に登ってきました。
「会津富士」とも称される磐梯山では、6月の半ば頃から磐梯山の固有種であるバンダイクワガタが咲き始め、初夏のこの時期はこれを目当てに登るハイカーさんも多く見られます。
かく言う自分もバンダイクワガタ目当てに裏磐梯までやって来ましたが、今回はそれ以外にも多くの花を見ることができました。
福島は裏磐梯スキー場よりおはようございます。
初っ端のクソ暑いゲレンデ登りで早くも帰りたくなっているtenfurlongです。
今日もダラダラ登って、あの奥に見える尖りのてっぺんまで行き・・・行けんのか?
表磐梯のメイン登山口・猪苗代スキー場から登っていたら本当に帰っていたかもしれない暑さの中、裏磐梯スタートの定番コースである火口原・櫛ヶ峰の方から登り、ピークハント後、中の湯・銅沼(あかぬま)の方へ下山する周回ルートで歩きます。
早速ですが、ウラジロヨウラク(裏白瓔珞)ちゃん登場。
この時期に結構山で見かけるけど、ツツジの仲間だったみたいですね。
仏像が身に着けている装身具(瓔珞)に花の様子が似ていることから、この名がついたそうです。
足元にはアカモノちゃんもちらほら。
こちらもツツジ科で、花期が終わると赤い実(食用らしい)を付けるみたいです。
この実を「赤桃(アカモモ)」と呼んでいたのが訛ってアカモノに転じたらしい。
少し開けたところから裏磐梯の荒々しい火口壁が見えてきました。
この景観こそ「The・裏磐梯」。
櫛ヶ峰の方はだんだんガスが湧いてきましたが、これはこれで幻想的。
火口原まで登ってきました。
噴煙こそ見えないものの、ここら辺は硫黄臭が漂っていかにも火山といった趣。(*磐梯山は、現在でも沼ノ平や火口壁の数カ所で小規模な噴煙活動が確認される、常時観測火山の一つです。)
明治22年(1888年)7月の大噴火で、ここら辺にあった小磐梯山が吹き飛び、現在見られるような裏磐梯の景観が作り出されました。
熊さんさあ、標識なんか食べたっておいしくないでしょ・・・。
タニウツギ(谷空木)は今回の登山でたくさん咲いてた。
最初から最後まで所々で目を楽しませてくれました。
季節的には新緑から深緑といったところでしょうか。
火口原を過ぎると急登が始まります。
このコースおなじみの逆U字の鉄の手摺りを乗り越え、樹林帯を抜けると・・・
はい、安定のガッスガスです。
まあ、めげずに登っていきましょうか・・・。
それでも、まだ咲き始めのマルバシモツケ(丸葉下野)登場。
シモツケ(下野)の名の通り下野国(現・栃木県)で最初に発見されたのが名の由来。
そして・・・
今回のハイクのお目当てである第一村人バンダイクワガタ(磐梯鍬形)様発見。
ここら辺からバンクワ祭りが始まります。
とは言え櫛ヶ峰へ続く稜線はガスの中ですがね(*櫛ヶ峰は立ち入り禁止です)。
バンダイクワガタは磐梯山の山頂付近一帯の所々に咲いているようですが、櫛ヶ峰分岐手前あたりが一番密集して咲いていたかな。
足下を見れば背丈10cmくらいのかわいい小さな花が、登山道脇に沿うように斜面のそこかしこに咲いています。
バンダイクワガタは、高山植物のミヤマクワガタ(深山鍬形)の中でも磐梯山にしか見られない地方変種(葉の形が違うらしい)です。
花の名は、花の形が兜の前にある角状の飾り(鍬形、V字状の角)に似ている事が由来。
強風に加え小雨もぱらつき始めましたが(笑)、櫛ヶ峰の分岐から三合目に至るやせ尾根にかけても、健気にたくさん咲いていました。
本来ならバックにド~ンと磐梯山が見えているはずですがね(笑)。
まあ、こんな日もあるさ。
想像以上に咲いていたので、写真ばっかり撮っててなかなか先へ進めません(笑)。
蕾のものもまだあったので、もう少し楽しめそうでした。
バンクワちゃんにお別れを告げ、山頂へと参りましょう。
さらにガッスガスの稜線を歩くと、今度はムラサキヤシオツツジが咲いていました。
さらにアカヤシオ?
時期的には、とうに散っていてもおかしくないはずだけど。
今年は冬が寒かった分、バンダイクワガタも例年よりは開花が遅めだったみたいなので咲き残っていたのかな?
んでもって締めはレンゲツツジ。
ここら辺はツツジのオンパレードでした。
「こんだけ登ってきてまだ三合目?!」という知らない人が見たら絶望的な石碑。
磐梯山は山頂が五合目という謎ルールが適用されています。
(もともとあった磐梯山が噴火で上半分が吹き飛んだからとか、標高が富士山のだいたい半分だからとか諸説あり。)
とか何とか言っているうちにガスが晴れてきたゾ~。
数は少なかったけどハクサンチドリ(白山千鳥)ちゃんもお目見えあそばされました。
おお、これは山頂も期待できそうな予感が・・・。
ここら辺(鞍部)の足元にはミヤマキンバイ(深山金梅)がたくさん咲いていました。
振り返れば天狗岩だったかな?
なんかラピュタっぽい。
山頂をロック・オン!
初夏のお山のお花の定番のイワカガミ(岩鏡)ちゃん、そしてミヤマオダマキ(深山苧環)君とたくさんの花に出迎えられつつ・・・
山頂直下のベストな場所に位置する弘法清水小屋まで登ってきました。
それにしても、向かいの岡部小屋って開いているのを見たことがないんですが・・・なんで?
「弘法清水」で四合目です。
「弘法清水」とは、弘法大師・空海が杖で地面を突いたらあら不思議、こんこんと水が湧き出てきましたよ~という伝説に由来する水場のことで、全国各地の山ん中にも似た名称の水場があります。
カ〇ジ「み、水がキンッッキンッに冷(ry
雲海が出ると7割り増し(当社比)くらいで高度感がパねぇ。
山頂まで何とか晴れは持ちそうです。
弘法清水小屋から見ると山頂は案外近そうに見えますが、4合目からのこの最後の登りは結構きついのです。
毎回騙されます。
毎回騙されます。
大事なことなので二回言いました。
それでも・・・
「歩けば着く」の名言通り、なんだかんだで磐梯山山頂(標高1816m)到着です。
冬に登って以来、何年ぶりかの山頂で感無量なり。
眼下にはド~ンと猪苗代湖が広がっているはずですが、この日は代わりに雲海が広がっていて、これはこれでよかったかな。
磐梯山は、個人的に好きな山頂Top3に入ってます。
てか、虫がすげえ飛んでんな!
久々の山頂を満喫し、弘法清水小屋まで戻って登山バッジゲット(バンダイクワガタとウスユキソウのデザイン2種類ありました)。
八方台登山口の方へ下山します(途中、中の湯の分岐で裏磐梯登山口の方へ)。
シロイヌナズナ(白犬薺)かイワハタザオ(岩旗竿)だと思うんですが・・・。
どっちもアブラナ科らしいので似てるっちゃ似てるのか。
ズダヤクシュ(喘息薬種)(たぶん)。
名の由来は、漢字名が表すとおり喘息の咳止め薬として用いられてきたことから。
こちらのコースも緑が綺麗でした。
サラサドウダンって結構好きな花なんですよね。
漢字で書くと「更紗満天星」ってなんかかっこいいし。
本日の隠れた主役・タニウツギちゃん、最後までありがとう。
中腹のガスも切れてきたようですね。
銅沼まで持つかな?
中ノ湯手前の分岐から裏磐梯スキー場(登山口)の方へと向かいます。
木漏れ日が清々しい森林のビクトリーロードを進み・・・
最後の締めとなる銅沼(あかぬま)まで降りてきました。
天気は最後まで持ってくれましたが、23mm(換算35mm)のコンデジでは全景が入りませんね。
暑そうだったので、荷物軽くしたくてメイン機置いてきたのがここに来てたたる。
自分の目には焼き付けられたので良いですが(笑)。
水面(沼面?)に映る櫛ヶ峰?かな。
銅沼で無事締められたことだし、クソ暑いゲレンデを下ってフィナーレと致しましょうか。
最後に「道の駅・猪苗代」から。
山頂が雲に覆われてしまって、残念ながら秀麗なる会津富士は拝めませんでした。
磐梯山のバンダイクワガタは、以前から見に行きたいと思っていたのですが、コロナもあって長いことお預けになっていました。
今回やっと念願が叶いましたが、バンクワも想像以上に咲いていたし、他にも沢山の花を見ることが出来て大変充実した初夏のハイキングとなりました。
ー----
【コースタイム】
裏磐梯スキー場駐車場 7:30 ー 噴火口分岐 8:03 ー 火口原分岐8:31
ー 櫛ヶ峰分岐 9:25 ー 三合目分岐 9:42 ー 10:02弘法清水(四合目) 10:05
ー 10:20 磐梯山山頂 10:46 ー 11:00弘法清水(四合目) 11:07
ー 裏磐梯スキー場分岐 11:58 ー 12:24 銅沼 12:36 ーゲレンデトップ 12:44
ー 13:04 裏磐梯スキー場駐車場 (合計時間:5時間34分、6月下旬)
【累積標高】
973 m (登り)
971 m (下り)
【歩行距離】
11.2 km